「死ぬまでに全駅」 駅索引

2017/10/25

シヌゼン各駅紹介(357) 1501-2000駅レビュー 第2位

#1884 潮(うしお)

・西日本旅客鉄道 三江線
 沢谷|石見松原
【区分】戊II 【撮影日】2017/4/8
【所在地】島根県邑智郡美郷町
【開業】1975(昭和50)年
【乗車人員(日)】1人
【その他】2018.4.1廃止予定

1501-2000駅レビュー 第2位

<選定理由>
「満開の桜と、緑の水たゆたう
江の川のコントラストが見事な絶景駅。
来年春には消えてゆくこの美しい駅を
いつまでも忘れない」

島根県邑智郡美郷町に所在。
JR西日本・三江線の駅。

築堤上に単式1線のホーム、
そしてブロック積みの待合室。
駅の構造物自体は味気ないが、
それを補って余りある満開の桜。

全線にわたって桜の木が
春の装いを強力にアシスト。
当駅がその最たるものだろう。

ホームへは国道375号線から
スロープを登る。
駅入口付近から三次方向。

逆に江津方向。
潮温泉では日帰り入浴もできる。

車の見える看板を左に入ると
「バカンスハウス」
コテージがあり、宿泊できる。
しかし統計では、一日の駅利用客は
たったの1人。

階段を登るとホームへ出る。
右は待合室。
レビュー2位に輝く当駅のオシは
ホームにあがってからわかる。

悠々と流れる江の川を見下ろす。
登録2,000駅の中では
トップクラスの絶景。

そしてその絶景に
満開の桜が「華」を添える。
非電化なので架線もない。
しばし息を飲み立ち尽くす。

1975年、三江線最後の未通区間、
浜原~口羽間開通時に設置。
この区間は鉄建公団が後先考えず建設を進め、
巨大鉄橋や地上数十mの高架駅を作り
堂々開通させたが、当駅はいたってシンプル。
これも都合がよかったかもしれない。

待合室の中には座布団。
駅の歴史はまだ50年にも満たない。

同線の他駅同様、
神楽の演目を紹介する案内板がある。
当駅は「潮払い」。
舞台の清め、神々の降臨を願う。

すでに紹介済みだが、
三江線は全線が
2018年3月限りで廃止となる。
当然、当駅も営業を終了する。

廃止決定以降、鉄道マニアに限らず、
三江線を訪れるカメラマンは多い。
ひとりひとりの記録と記憶が
いつまでも残り続けることを願う。

やがて消え行く。
余命宣告を受けた美少女に出会った気分。
何ともやりきれない想いが胸に去来する。

決まったことは仕方がない。
無理を押して
ここまでやってきたのも知っている。
来年の春、お別れの日には
この時のように桜は満開だろうか。






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